霧島酒造訪問記
夢がなくては始まらない。
楽しくなくては始まらない。
-霧島酒造訪問記-
2018.6.6 y.hamada
銀色に光る巨大なタンク群。
私の予想をあっさりと超えた。
桜島を右手に見つつ海沿いの道を離れ1時間。突如20メートルはあろうかと思われる貯蔵タンク群が我々を迎える。
銀色に光る巨大なタンク群は古色蒼然とひっそりとたたずむ姿を思い描いていた私の予想をあっさりと超えた。
更に奥に進む。白壁に3本の煙突が聳える。かつて酒米を蒸す際に使われたものであろう、大正昭和の懐古を象徴的にとどめている。
「霧島裂罅水」飲んでみると甘い。
大地からの贈り物。
この工場の周辺は市民開放型のガーデンパークとなっており、地ビール醸造施設とレストラン、焼酎もろみを使ったパンが楽しめる。もちろん工場見学も可能だ。
ガーデンの一角に「霧島裂罅水」の泉がある。裂罅とは岩石の割れ目、断層破砕帯などの空隙に保持された地下水のことであり、霧島山脈に降った雨が都城盆地の奥深くに蓄えられている。
飲んでみると甘い。焼酎造りには欠かせない大地からの贈り物である。
「黄金千貫」には熱意がいっぱい
詰まっている。
普段目にする甘藷は赤茶色であろう。ここの甘藷は黄色である。その名を「黄金千貫」という。
2000軒を超える県内の生産農家さんの力作だ。最高の甘藷を得るための共存共栄の工夫がある。
良作不作に係らず作付面積に応じた取引価格の設定がされている。そのため、生産農家・焼酎製造者ともに収益の安定化を図れ、更に品質向上への意欲も高まる。
また、年2回の甘藷会議で栽培状況報告や生産指導、活発な意見交換等、双方コミュニケーションがとられている。
黄金千貫には熱意がいっぱい詰まっている。
「あまみ」「うまみ」「まるみ」
いつもと変わらない最高を目指して。
工場内の製造設備に目を瞠る。麹米の一次仕込みから黄金千貫を混合させてからの二次仕込み、その後の蒸留、貯蔵までは自動化設備で製造される。
もちろん自動化といえども、仕込み過程の米蒸し、芋蒸し、製麹、酒母作り、蒸留では、機械の条件設定、細やかな数値管理がされている。しかし、最後の味を決めるのは人である。レシピもマニュアルもない。ブレンダーに全幅の信頼を置いている。
「あまみ」「うまみ」「まるみ」をもった焼酎に仕上げるのだ。しかも、いつもと変わらない最高を目指して。
いただきものは一切無駄にしない。
まさに循環型企業のお手本である。
いただきものは一切無駄にしない。水、いも、人を大事にする姿勢の表れだ。工場見学冊子を見てみる。
製造工程で出てくる副産物に芋くずと焼酎粕がある。あわせて1日700トンにもなる。これをひとつはバイオガスに換える。
このバイオガスは自社の蒸留設備の熱源で活用し、また発電機燃料として約2000世帯相当の電力も生み出している。
もうひとつはバイオガス創生後の残り物だ。これらは固体と液体に分離される。(我々の機械はこの工程で活用されている。) 固体については堆肥となり甘藷畑の土に還る。そして、液体は処理され海に還る。
まさに循環型企業のお手本である。
幸せな気分になったのは
甘藷の甘い香りのせいだけではないだろう。
夢がなくては始まらない。
楽しくなくては始まらない。
(霧島酒造考動指針から)
霧島酒造株式会社 本社工場様
- ■創業
- 大正5年5月
- ■設立
- 平成26年3月28日
- ■業務内容
- 酒類の製造および販売
レストラン事業 - ■本社住所
- 宮崎県都城市下川東4丁目28号1番
- ■ホームページ
- http://www.kirishima.co.jp/